『渡部の歩き方』第16回目の訪問地となったのは、北海道です。本編はダンチュウ編集長「植野広生氏」と共に札幌のお店を巡ります。割烹料理、フレンチ、寿司などいずれも全国に知られた名店をセレクトしています。このページでは、北海道編で紹介されたお店を紹介します。
わがままなオーダーができる割烹「料理屋K」
寒さ厳しい冬旅の行き先となったのは食の王国、北海道です。今回はスペシャル企画として人気雑誌「dancyu」の編集長である植野氏が同行。お互いが行ったことがないお店で勝負ということで、両者とも、グルメサイトやミシュランだけでは語れない、全国屈指のA級スポット、札幌ならではのとっておきのお店をピックアップしてくれました。
最初に向かったのは、新千歳空港から車で50分ほどのところにある「料理屋K」。植野氏イチオシの割烹のお店で、モダンな白壁の建物が目印。「札幌大球キャベツと酒粕のすり流し」で冷えた体を温めたところで植野氏がおすすめの魚を打診。すると、出てきた高級魚キンキを目にして、刺身・焼き・煮付けを注文。そう、ここは調理法を自由にリクエストできるというユニークなお店なのです。
そっと湯引きした「刺身」、脂のノリがいい「炭火焼き」に続いて、「ヒラメの昆布締めとエンガワ」「口黒鱒の漬け」「真だちの藁焼き」と、北海道ならではの海の幸を堪能しました。〆となった「牛フィレの海苔巻き」は、植野氏が細部までオーダーした特別メニュー。訪れた際はぜひリクエストしたい逸品です。
▼基本情報▼
店名 | 料理屋K |
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住所 | 北海道札幌市白石区東札幌二条1-3-24 |
電話番号 | 011-795-2090 |
営業時間 | 11:30~13:30(予約不可) 17:00~23:00 |
定休日 | 水曜 |
五十嵐(フレンチ)
次に向かったのは、札幌駅から車で10分のところにある「五十嵐」。表札も看板もなく、ただ白い暖簾がかかっているだけという、無駄を省いた店構えが印象的なフレンチのお店です。店内はまるでキッチンのモデルルームのような明るさで、植野氏が指摘するように、「オープンなのにプライベート感がある」のが特徴。
料理のジャンルは特に決めていないというだけあって、「日高産 真つぶ貝とシャインマスカットの酢漬け」や「厚岸産牡蠣と根セロリのシャンペンゼリー」など、細やかな仕事を施した簡単にはカテゴライズできない料理が続きます。ほどなくして、フォトジェニックなスペシャリテの「コハダのテリーヌ」「豚肉と穴子のパテ」が登場。さらに、かぶのピュレと肝ソースでいただく「千葉県産黒アワビの蒸し煮」、「根室産ホタテのポワレ」など、フレンチの気高い風格をまとった看板メニューたちはどれも誇らしげで、渡部氏が隠し玉として出してくるのにふさわしい、食の王国を代表するお店でした。
▼基本情報▼
店名 | 五十嵐 |
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住所 | 北海道札幌市中央区南1条西1-13-5 1F |
電話番号 | 011-207-7373 |
営業時間 | 12:00~ |
定休日 | 不定休 |
鮨ノ蔵(寿司)
次に一行が向かったのは、札幌駅から車で5分くらいのところにある「鮨ノ蔵」。怪しげなネオンが眩しい雑居ビルの地下にあり、バーの居抜きを利用して営業しているという、かなり異色な寿司屋です。狭い店内には、寿司屋にありがちな白木のカウンターやガラスのネタケースはなく、座席数も6席と極小。ところがここをめがけて全国からグルメファンが訪れるという隠れた名店だというから驚きです。
真水と海水、違う水でそれぞれ血抜きした「ヒラメ」や、3週間寝かせたという「ブリ」、そして旨味を逃さないよう、お湯のウォーターベッドで優しく火を入れた「キンキ」と、こだわりぬいた肴に続いて、握りが登場。はんだごてで炙って香りをつけた「ヤリイカ」、藁で冷薫し、工業用の高温ドライヤーで皮目にだけ火を入れた「サワラ」、一週間脱水した「中トロ」など、独創性溢れる品々はここでしか味わえないもの。〆の「トロのたたきとウニの合わせ」が出される頃には、この店の異質な空間のことがまるで気にならなくなっているから不思議です。
▼基本情報▼
店名 | 鮨ノ蔵 |
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住所 | 北海道札幌市中央区南2条西4 乙井ビル B1F |
電話番号 | 080-3237-5430 |
営業時間 | 18:00~21:00 |
定休日 | 日曜 |
蜂屋(深夜食堂)
北海道編のしんがりを務めるのは、札幌駅から車を走らせることおよそ10分、ビル内の食堂街の中にひっそり佇む「蜂屋」です。開店が昭和43年という、植野氏曰く「すすきののオアシス」として愛される北の街の深夜食堂。庶民的な雰囲気といい庶民的なメニューの数々といい、〆として訪れるにはまたとないお店です。
「すすきのイチ優しいおにぎり」と評しながら「たらこバターおにぎり」を頬張る植野氏の表情が印象的で、ふっくらやわらかめに握られたおにぎりは、こうやって何人もの疲れた心と体を癒してきたに違いありません。見るからに懐かしい味わいの「カレー」、渡部氏が好物という「豚生姜焼」、煮卵を丸ごと包んだ「煮卵おにぎり」、濃いめに味付けされた「サバ味噌煮」、典型的なルックスの「目玉焼き」と、どれをとっても「いい意味で」平均的で飽きのこない美味しさ。二人とも四軒目とは思えない食欲とハイテンションで、一流の寿司屋とはまた違う楽しみ方をさせてくれるこうした大衆店もまた、名店と呼ぶにふさわしい場所なのです。
▼基本情報▼
店名 | 蜂屋 |
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住所 | 北海道札幌市中央区南四条西3 第1グリーンビル 1F |
電話番号 | 011-518-2074 |
営業時間 | [月~木]17:00~4:00[金・土]17:00~5:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |